この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
きっかけは、兄が認知症と診断されたので成年後見の手続きについて聞きたいというご家族からの相談でした。話を聞いていく中で、相談者の兄が代表取締役として一人で会社を経営していること、会社は赤字続きで多額の借金があり、経営者も連帯保証をしていることがわかりました。
解決への流れ
事業を継ぎたい家族もいなかったことから、会社と経営者の両方の破産を申し立てることにしました。ただ、認知症になってしまった経営者から依頼を受けることはできないため、まずは経営者の成年後見人の選任申立を行い、私が後見人に選任されたうえで、後見人として破産申立を行いました。会社の経営状況などについて、経営者から話を聞き取ることができない難しさがありましたが、幸い、経理担当の従業員が内情に詳しく、必要な資料を集めることができました。また、経営者の自宅が会社の店舗兼倉庫となっており、抵当権が付いていたので、破産管財人が選任された後に任意売却を行いました。最終的に、管財人の処理によって財産の換価と分配が完了し、法人は解散、経営者の借金は免除(免責)となりました。経営者は自宅を失いましたが、家族の協力もあり、生活保護を受給しながら認知症患者が集まるグループホームで暮らしています。
本件のような経営者が1人でほぼ全て運営しているような会社の場合、経営者が認知症になった時にどうするかは非常に難しい問題です。あらかじめ対策を取っておくことも重要ですが、この件のような解決方法もありますので、お困りの方はご相談ください。