犯罪・刑事事件の解決事例

労働問題 ~①はじめに ②裁判上の手続を通じての解決 ③裁判外での交渉による解決~

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長浜 宏治 弁護士が解決
所属事務所神戸元町ハーバーサイド法律事務所
所在地兵庫県 神戸市中央区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

1 はじめに労働問題を含め、個々の紛争は、例えば、「不当解雇」であるとか、「ハラスメント」であるとか、一見すると、同じようであっても、実のところは、千差万別で多種多様です。労働者側であれ使用者側であれ、その置かれた状況などそれぞれの事情が異なる以上、まさに個々の紛争ごとに適した解決策があります。遅滞なく労働審判を申し立て、早期に決着させるのが適切な事件もあれば、使用者側と交渉して、依頼人の待遇改善や職場復帰を図るという相手方との平穏な話合いを通じて解決することが適切な事件もあります。以下、典型的であると評価できる事案を挙げますので、参考にしてください。2 裁判上の手続を通じての解決依頼人が相談に来られた時には、すでに離職しており、依頼人自身、職場復帰する意思はありませんでした。ただ、使用者側の横暴な扱いを公の場で明らかにしたいという意向でしたので、速やかに労働審判を申し立てた、という事案があります。この事案では、使用者が、会社組織であるものの、いわゆるワンマン経営の個人企業であり、使用者と依頼人との間に埋めようのない溝があったことから、およそ職場復帰が望めず、仮に、職場復帰が認められたとしても、復帰後も、ハラスメントの恐れがあり、実際、職務を継続できないことが十分に予想されましたので、依頼人の意思を尊重して、依頼人の名誉回復に力点をおいて労働審判を申し立て、一気に終結させるという策を採りました。実際、初回期日で終結し、依頼人も納得できる結果が得られました。使用者が一定の規模と組織を備えた企業であるならば、審判手続に入る前に交渉することや、審判になってからも、その手続の中で、和解をして、職場復帰が認められる可能性や、相応の示談金を受け取り円満退職という可能性も出てきます。しかし、本事案のようなワンマン経営の個人企業が相手の場合、職場復帰を考えるよりも、新たな就職先を探す方が、依頼人の大切な将来を無駄にしない視点から、有意義であると考えます。労働審判は、申立てから40日以内に第1回の期日が開かれ、期日は3回までに終結することになっています。また、労働審判となった事件の約7割が和解によって終了しておりますので、依頼人が有力な証拠を握っており、十分な攻撃材料があるのであれば、3か月以内の早期解決が可能となることでしょう。

解決への流れ

なお、使用者側企業にとっては、労働者が感情的かつ攻撃的で、その言い分の合理性に欠け、話し合いによる円満解決の可能性が見えないのであれば、労働者側からの審判申立てを待って、その審判手続によって解決を図るのが得策であるもいえるでしょう。実際、職員がハラスメント被害を主張しているものの、公正に調査した結果、その主張に合理性がなく、むしろ、その職員による、法人や特定の上司に対する嫌がらせと評価できるような事案もありました。この事案については、その労働者の職場での言動によって業務に支障が出る都度、適正かつ妥当な懲戒権を行使する一方で、露骨に不満を示す労働者に対して、法人を相手にして審判の申立てや訴訟の提起を希望する旨を伝え、裁判上の手続においての解決を望むということをはっきり示すことを教示しました。概して、それなりの規模の企業であれば各別、小規模の事業主は、労働者から主張された不満に納得できない場合、勢い、解雇などの強硬手段を望みがちです。しかし、そもそも、労働基準法をはじめとする労働関係法令は、労働者保護をその趣旨とするものである以上、やむを得ない特段の事情もないのに使用側が強硬手段に出ることは、自分で自分の首を絞めることにしかなりません。使用者側が率先して健全な職場環境を作るということは、紛争当事者でない他の勤勉な労働者の利益になるのみならず、企業の発展に資するものであることを自覚し、慎重かつ地道に、トラブルメーカである労働者に接することが肝要です。このことは、上記事案の使用者に方のみならず、相談に来られる小規模事業主の方々に、お伝えしているところです。3 裁判外での交渉による解決使用者が一定の規模を備えた組織であり、従業員の労働問題について対応するセクションや窓口がある場合には、交渉による解決策を選択する方が、時間と費用が節約でき早期解決を得られる可能性が高いといえます。使用者側の担当者も会社組織の一員であり、通常、労働者の直接的な紛争相手である同僚や上司が交渉相手になるということはありません。むしろ、直接の紛争相手が交渉に立つような企業は、健全な企業組織とはいえませんので、審判や訴訟という裁判上の手続で解決していくことになるでしょう。実際、有期労働契約労働者であった依頼人が、契約更新を望み(まだ就労期間が5年未満でしたので無期契約の変更はできない事案でした)、現在と同じ職場での就業と待遇を希望していたという事案でした。会社側に若干の労働時間と休日の管理について不備があったものの、依頼人である労働者側にも、若干、責められても仕方のない事情がありました。当初は、依頼人が自ら会社側の人事担当者に要望を伝え交渉したものの、うまく話合いができなかったので、私が代理人として会社と交渉しました。具体的には、事を穏便に進めるべく内容証明郵便ではなく、要望書という形で書簡を本社人事部へ送り、先に依頼人の要望を明確に伝えた上で、電話会談を通じた後、直接部長クラスの人事担当者と面談し、双方、譲るべきところは譲りつつ、従前同様の待遇で契約更新という円満解決で終結しました。この事案は、依頼人が強く相手方会社での勤務を望んでいたことと、会社側が一定の組織と規模を備え、コンプライアンスにも配慮している法人であったことが、冷静かつ穏便な交渉を可能にしたものです。このように一定の規模と組織を備えている会社であるならば、就業を継続することが依頼人の生活の安定につながりますので、冷静かつ穏便に対処していくことが大切であるといえます。

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長浜 宏治 弁護士からのコメント

他方、不当解雇と評価できるような内容でしたが、依頼人自身、ほとほと嫌気がさしており、職場復帰する意思は毛頭ないものの、退職後も、使用者から、損害賠償等々、あれやこれやと言い掛かりをつけられるのが怖い、という事案がありました。じっくりと依頼人の話を聴いた上で、可能な限りの事実分析をしてみると、たしかに使用者にそのような偏執的な傾向があることを否定できないとも感じました。しかし、一旦、退職して使用者のもとを去った人物に、個人的な怨恨でもあればともかく、そうでないのであれば、こちらからアクションを起こさなければ、時間の経過とともに沈静化していくであろうと判断し、仮に、後日、使用者側から訴訟などの攻撃を受けたときに備え、存在する限りの証拠固めを行うなどの防御の準備をしっかりとしておくという策を講じました。その後、数カ月を経ても、相手方からは何らのアプローチありませんでした。そうすると、準備したことが無駄になったようにも思えますが、しかし、備えあれば憂いなしで、依頼人が安心して再就職先で就労することができたということが何より良い結果であったと感じています。また、雇止めの事案で、なるほど、会社側の対応には不当性があり、労働者側の心情には感じ入るところがありましたが、いかんせん、会社側は法律、特に実際の訴訟になったときの駆け引きを熟知しているようで、契約更新拒否について、もっともな理由が付されておりました。実際、その理由に虚偽があるとか、今回の契約更新が濫用的なものである等々の会社側の不正を証明することが不可能な事案でした。ただ、幸いなことに、労働者が従前と同様の収入を得られる勤務先が多く存在しており、再就職に困難を感じなかったこと、人間関係などを含め職場環境も良好でなかったので、労働者側としては、支給されていなかった賃金などの相応の金員を受取り、会社都合による解雇という形でスムーズに退職できるのであれば良いということで、会社側の人事担当者と面談交渉し、無事解決をみることができました。なお、使用者側が、小規模な個人企業のような組織であっても、経営者が真摯に経営に取り組み、コンプライアンスを意識し健全に事業規模の拡大を図っているような場合であれば、使用者と話し合うができる余地もあるので、交渉による円満も可能となることでしょう。