この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
ご依頼者様の叔母様は、遺産のほとんどをご依頼者様に遺贈する旨の遺言を遺し亡くなりました。しかしながら、遺言執行者でもある相手方は、自分の取得分に不満があったため、遺言書どおりの執行をなかなか進めようとしません。そこで、しびれをきらしたご依頼者様が、ご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
相手方から事情を確認すると、本件紛争のタネは、以下のようなものでした。すなわち、そもそも、遺言書では、相手方が不動産を取得できることになっているにもかかわらず、その不動産は既に売却されて預金に変わっており、しかも、遺言書では、当該預金がご依頼者様のモノとされていたことにあります。この預金は不動産と同価値なものとして相手方が取得できるモノなのか、それとも、単純な預金としてご依頼者様が取得できるモノなのか。相手方は、この点に疑義・不満を感じて、遺言執行に踏み切れないとのことでした。これに対して、当職からはまず、遺言執行を行わない場合、遺言執行者の解任を裁判所に申し立てることを示唆し、相手方との交渉に入りました。また、本件の状況においては、過去の裁判例等を参考にすると、預金はご依頼者様のものであることをきちんと説明しました。もっとも、ご依頼者様自身も親族である相手方と揉めたくない気持ちもあったため、ご依頼者様と相手方が納得いく範囲で、遺言執行をすることで無事解決に至りました。
遺言があっても、その内容が不明確だと、争いの種になり、遺言執行が滞ることになります。本件も遺言がしっかり作成されていれば、防げていたトラブルだったと思います。本件では、しっかり相手方の言い分を聞くことで相手方との対立状況を避けることができ、早期に遺言執行を実現することができました。