犯罪・刑事事件の解決事例

(その2)借金地獄で自転車操業。しかし、個人で事業をしているので自己破産は回避したいし、車がなくなるのも困ります。[個人事業主の方の債務の法的処理として自己破産か個人再生か]【事務所法人案件】

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小澤 和彦 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人後藤東京多摩本川越法律事務所練馬事務所
所在地東京都 練馬区

この事例の依頼主

男性

相談前の状況

(前回までのあらすじ)便利屋サービスを行っている個人事業主の方。使えない従業員2名を抱えておりましたが、そこは経営者、社長として、どんなに苦しくても従業員の首だけは切ってはいけないという信念のもと頑張って雇用を維持しました。そのため、借金を抱えてしまいました。ですが、そのような社長の苦労を知ってか知らずか、従業員の方は恩義にかんじてくれるどころが、要求がエスカレート、不満たらたらでした。とうとう、我慢の限界に達した社長は、その従業員たちに説教しましたが、それで奮起するどころが、逆に、辞めると言ってきました。辞めるだけならまだしも、未払いの残業代を支払えと言ってきました。何を寝ぼけたことを?暇なときに散々おしゃべりしていただろ?と思うのが通常ですが、そういうまともな人情論はこういう従業員には通用しません。ついには、彼らは労基署(労働基準監督署)に駆け込みます。そして、労基署もそういう話は一切、聞く耳持ちません。ただ、社長に払え、と。それで会社が倒産しようが、破産しようが、知ったこっちゃない、という態度です。それで個人でサラ金まで利用して支払いました。可哀そうですね。その後は、人間不信になり、誰も雇わず、一人で奮闘しましたが、借金の返済が追いつかず、弁護士に相談しようと考えます。破産はしないで、なんとか便利屋をつづけるための債務整理を模索して、地元でテレビCMとかもやっている大きな事務所に相談してみることにしました。しかし、そこのスタッフは、破産が嫌なら、任意整理がいいと勧めてきます。あんまり、任意整理があまりよく分からないまま、任意整理をするとどうなるかを尋ねると、なんと、1カ月あたりの現在の支払額の2倍以上になると言う。支払いが苦しいから相談しているのに、なんで?と疑問に思いますが、破産したくなければ任意整理しろと、冷たく言い放つ当該事務所のスタッフ。そうでなくて、破産がいいとか嫌ではなくて、事業を継続するためにはどうすればいいのかを問うと、「別の事務所に相談したら?」と。もともと、会社や個人事業主は対象にしていないとのことを言い出して、もはや、幾ら話をしても意味がないと断念。その後、弁護士に相談しようと、何件も聞いては見ますが、「もう、事業は辞めてお勤めにしたら?その方が楽だよ?」「破産するということは全部を諦めることだよ。」「民事再生っていうのもあるけど、うちはあまりやらないんですよ。」等々、どこも芳しい返事を頂けません。そのような経緯を辿って、当事務所にいらっしゃいました。

解決への流れ

正直、もうかなり自分自身がいろいろな弁護士事務所、司法書士事務所で相手にされなかったり、門前払いされたり、今の個人事業を辞めるよう説得されたりして、疲れていましたし、正直、もう無理なのかなあ、と諦めかけておりました。弁護士さんからは、「便利屋って、範囲が広すぎて私もよく分からないんですけど、何か売ってお金になるような設備とかってあるんですか?」と冒頭に聞かれました。(やっぱり。全部を売って事業を辞めろと言い出すんだな。)と思いながら、「売ってお金になるようなものはありません。ただ、車、ハイエースワゴンはたしかに売ればいくらかにはなるかもしれないです。」と正直に言いました。ですが、「車が以外は無しですか。さすがに車は売ったら商売続けられなくなるでしょ?」と言うので、「えっ?商売続けてもいいんですか?」と自分でもおかしな質問をしてしまいました。「えっ?商売続ける、ってお話ではなかったでしたっけ?」「辞めるんですか?」と言われて、「いえいえ、もちろん、自分は商売続けたい、って思っているんですけど、なんか、これまで、いろんな弁護士とか司法書士とかから、もう辞めた方がいいとか、辞めるしかないとか言われたもので。」「どうやったら、続けられるんですか?」と聞くと、「そうねえ。とにかく、破産なり、個人再生なりの費用が準備できれば。」と言われました。「破産したら、商売できなくなるんではないですか?」というと、「いや、そんなことはないですよ。」「破産したら、その時点での資産を手放さなければならないということから、通常は、事実上、商売を続けられなくなるけど、資産と呼べるようなものは車を除いて何もないんでしょ?」「あと、確認ですけど、売掛けとか買掛けとかも便利屋さんだからないですよね?」と言われ、「はい。現金商売です。それに、車以外お恥ずかしいぐらい金目のものは何もないです。」と言いました。「それで、どうしますか?」「ご存知の通り、自己破産と言うのは、手元にある資産的なものは全部、手放すけど、免責が認められれば借金の支払い義務は免除される手続きで、個人再生というのは財産を手放す必要はなく、借金のうち約8割ないし9割を免除してもらって、残りを分割で支払う手続き。」「あなたの場合には、3500万円だったので、借金の9割カットだね。だから、350万円を返済することになる。」私は耳を疑いました。「3500万円が350万円?」「私の場合、本当にそうなりますか?」再度、念押ししました。「うん。なる。」「だから、この350万円を3年で分割支払いすると、月9万7千円、5年だと、月6万円という感じですね。」「もちろん、自己破産すると、支払額はゼロだけどね。ただ、車の価値によっては、その車の買い戻し費用がかかるかも。」「いずれにせよ、自己破産費用ないし個人再生費用はかかるからね。」「もちろん、分割払いの積み立てでよいですが。」なんだか、キツネにつままれたような感じでした。なんで、これまで、あっちこっちで商売辞めろと言われ続けたのか訳が分からなくなりました。と同時に諦めてなくて良かった、というか、そこで辞めていたらと思うと怖くも感じました。人の出会いって本当に大事だな、と思うと同時に、出会いは自分で動いて掴み取るものだということを実感しました。https://債務整理新潟.com/

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小澤 和彦 弁護士からのコメント

結局、この方は、個人再生の手続きを選択されました。その理由は、「破産」だと聞こえが悪く、その後の商売に響くからだということでした。別に、破産であることを他の方々に通知する必要はありませんよ、と言ったのですが、「破産」したのを隠すのは良くないし、民事再生なら正々堂々と言えるから、と言っておりました。そのあたりは、業界的なものもあるのかもしれず、無理やり自己破産をさせるというわけにもいきませんので、個人再生として進めることにしました。車は返済額である350万円を超える価値があるとすれば、たしかに問題になりますが、当然ながら、そこまでも価値はありませんでしたので、普通に、車を維持したまま商売を続けることができます。個人事業主の事業継続前提での自己破産ないし個人再生は、嫌がる人が多いです。一つは責任が重くて怖いからです。事業継続が本当にできるのかどうかは、大変、複雑な諸問題・諸事情が絡んでくるので、やった結果、継続できなかった、となると、それは当然ながら依頼者さんとの間で大きなトラブルになります。「嘘つき!できるって言ったじゃないか!」と、事業継続はお仕事の問題で生活の根本に関わることなので、トラブルの深刻さが違います。なので、諦めてもらって、粛々と自己破産にしてしまえばそういう精神的負担はありません。それに、たしかに、業種によっては、お金の出入りが頻繁で数字を追っかけるのが大変です。ですので、手間が掛かりますし、見落とし、見間違いが生じるリスクもあります。なので、そもそも、事業継続はしないんで、という事業廃止の前提だとしても、事業主の案件自体をやりたくない、という人も少なからず存在しております。ですが、破産はともかく、小規模個人再生と言うのは、小規模事業者のために用意された再生手続きなのです。せっかく、再生できる事業があるのに、これを潰すなんて、当事者の方にとっても不幸ですし、日本社会にとっても損失なのです(何もそんな大げさなことを普段ずっと考えているわけではありませんが)。そういうわけで、当事務所は個人事業主の方のご依頼が多分、よその事務所に比べても多いと思います。なお、個人事業主の方が小規模個人再生をする場合において、重要なポイントについて少し補足しておきます。再生という以上は、収入見込みが立たなければなりません。通常、過去2年分の事業収益をベースにして、今後も継続的収入があるかどうかの見込みの説明を裁判所にしていくことになります。借金の点を除いてずっと赤字ですと、「借金をせっかく減額しても返済できないのでは?」ということになり、再生手続きが認められないことになってしまいます。また、今回のケースでは問題になりませんでしたが、買掛がある場合には注意を要します。事業・商売をするために必要な原材料の仕入れとかが買掛けになっている場合、再生手続において、その債務をカットするとどうなるでしょうか?通常、もう、2度とその仕入れ先から原材料が入ってこなくなりますよね?そこから買えないのであれば、また別の仕入れルートを探すからいいですよっていう方もいますが、そうでないとすると、事業の継続ができなくなってしまいます。そうすると、そもそも再生なんて言ってられなくなります。そのため、「事業を継続するために必要な買掛金なんです。」「ここだけは支払いすることを認めてください。」と裁判所に届け出て支払うようにしなければなりません。