犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

亡母の遺産分割のケース

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田中 宏幸 弁護士が解決
所属事務所田中宏幸法律事務所
所在地大阪府 大阪市浪速区

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

相続人は長男と2人。遺産は自宅と預貯金が主でした。長男は二男と不仲で、亡母の介護を二男に任せきりでした。二男の妻は婚姻当初から亡母と同居し、その介護を献身的に行っていました。亡母の認知症は悪化し、暴言・暴力が酷くなり、ショートステイ先でも受け入れを拒否される程でした。自宅内でも妄想からか杖で自宅のガラスをたたいてヒビを入れたり、壁に穴をあけたりし、夜中に徘徊するため、二男夫婦は夜間交替で亡母の介護を行ってきました。この状態が7年以上も続いた後、亡母が他界しました。長男は亡母の遺産の半分を要求してきていましたが、二男はこれに納得できず、私に依頼されました。

解決への流れ

示談交渉では解決が困難であったため、遺産分割の調停申立を行いました。二男の寄与分をいかに主張・立証するかがポイントでした。亡母の介護の大半は二男の妻が行っていましたので、主として二男の妻から時間をかけて詳しい事情を聞き取っていきました。二男の妻も協力的でした。要介護認定の資料、ケアマネジャー作成の資料等の客観的資料を収集し、客観的事実を時系列化し、それに基づいて介護の内容程度、頻度等の一覧表を作成していきました。この中で、二男夫婦がいかに亡母の介護に尽力していたかを浮き彫りにし、それを金銭に評価して主張・立証していきました。長男は、二男夫婦が亡母の介護に苦労していたことを全く知らなかったため、その介護の苦労をリアルに表現するように工夫しました。遺産分割の調停においては、調停委員も味方につける等して、二男が主張する寄与分を長男が大幅に認める形で遺産分割の調停が成立しました。審判手続に移行しても耐えられる程の主張・立証をしていたことが効を奏したものと思われます。

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田中 宏幸 弁護士からのコメント

長男は二男夫婦による亡母の介護の苦労を全く知らない状態でしたので、単に介護が大変だったと主張しても、長男がにわかに信じることはありませんでした。そこで、動かない客観的資料を積み上げていき、それをベースにして、介護の内容や程度・頻度を具体的に示して、これを根拠となる文献に基づき金銭に評価して寄与分を主張したのがよかったと思われます。その中で、自宅のガラスや壁などが損壊されていた写真も証拠として提出して、そのリアルさを示したことも大きくプラスに働いたものと思われます。二男夫婦は、長年亡母を介護してきたことが理解されたことに大変満足されていたのが印象的でした。