犯罪・刑事事件の解決事例

死期間近な交際相手から多額の現金の贈与を受けた女性が、交際相手の死後、その相続人から贈与額全額の返還を求められたが、贈与の時点から適切な準備をしていたため、遺留分相当金額の返還のみで解決した事例

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田保 雄三 弁護士が解決
所属事務所大阪和音法律事務所
所在地大阪府 大阪市北区

この事例の依頼主

50代 女性

相談前の状況

依頼者の方は、一人暮らしの男性(60代)と交際していた50代の独身女性でした。依頼者と男性は結婚の約束もしていました。男性は妻と死別しており、成人した2人の娘もいましたが、娘たちとは疎遠でほとんど連絡も取っていませんでした。男性が体調不良で入院したところ、末期がんであり、死期が近いことが判明しました。その時点で、男性は、自分の預貯金の多くを依頼者に贈与する旨の意思を口頭で示しました。そして、依頼者とともに病院から外出し、振込みの方法で依頼者の口座に送金を行いました。男性は、上記送金実施後も、推定相続人である娘2人にその旨を話しませんでした。その時点で、依頼者から弁護士にどのように対処すべきか相談がありました。

解決への流れ

◆協議開始前弁護士より依頼者に対し、以下の2点を説明しました。① そのままの状態で男性が死亡すれば、男性の死後に、男性の相続人が「男性は無理矢理送金をさせられたのであり、贈与はなかった」などと主張し、依頼者に送金された現金全額の返還を求めてくる可能性があること② 仮に、贈与の存在が争われなくても、男性の相続人が遺留分を主張すれば、一定額は相続人に支払う必要があることその上で、上記①のように贈与の存在を争われる可能性を最小限度にとどめるため、以下の対応を依頼者にアドバイスし、そのとおり対応してもらいました。A.第三者立ち合いの下、男性の意思を確認し、贈与契約書を作成して男性に署名押印をもらうことB.Aの署名押印をもらう際は、意思確認の場面から契約書の署名押印の場面までをビデオ撮影し、撮影日時を明確にした上で動画データを保存することその後、男性は死亡しましたが、男性の相続人である2人の娘は弁護士を代理人に選任し、依頼者に対し、男性から贈与を受けた金銭全額の返還を求めてきました。それを受け、当方も依頼者の代理人に就任し、代理人間での協議を開始しました。◆協議開始後相手方本人とその弁護士と面談し、男性が贈与契約書に署名押印する場面の動画を見せ、贈与の有効性を説明しましたが、相手方は納得せず、全額の返還を求めて訴訟を提起してきました。訴訟においては、当初、贈与の有効性が最大の争点になりました。また、審理が進む中で、相手方は遺留分の主張も追加してきました。訴訟においても、贈与契約書への署名の場面の動画を提出したところ、裁判所より、贈与が無効であると明確に認定することは難しい旨の心証開示がありました。その後は、遺留分減殺を前提に、依頼者からいくらを相続人に返済すべきかという点が中心的争点となりましたが、相続人が相続した不動産の評価額等の主張・立証を経て、最終的には、依頼者が贈与を受けた金額の約4分の1のみを相続人2名に支払う内容の和解が成立しました。

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田保 雄三 弁護士からのコメント

相続開始前から、相続開始後にどのような状況が生じるかを正確に予測して対処できたことが、依頼者にとって有利な結果につながったと思います。本件では、贈与契約の成立自体を争われないための証拠の作成方法についても細かいアドバイスを行いました。たとえば、贈与意思の確認の際に用いるべき言葉遣いや、動画の撮り方についても、細かくアドバイスしました。このアドバイスに従って作成された動画が、その後の訴訟において役に立ちました。相続権のない者が多額の贈与を受ける場合、贈与者の死後、贈与者の相続人とのトラブルに巻き込まれることが多くあります。贈与を受ける時点での適切な対処方法はケースバイケースで異なると言わざるを得ませんので、できる限り早い時点で弁護士に相談されたほうがよいと思われます。