この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
夫が一方的に家を出た後、離婚調停を申し立ててきた事案です。奥様は第1回目の調停期日にはお一人で行かれましたが、調停委員に対して思っていることをうまく伝えることができなかったそうです。そこで、このままでは離婚が成立してしまうのではないかと不安を感じられた奥様がご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
ご相談にいらっしゃった当初、奥様は、夫が家を出て行ってしまった事実や夫から離婚調停を申し立てられたという事実をまだ十分に受け止められておられませんでした。そのため、夫への気持ちや今後どうしたいのかというご希望も十分にまとまっておられませんでした。そのような状態では、調停委員に対してもお気持ちを十分に伝えることもできません。そこで私は離婚調停についてのご説明するとともに、ご事情を伺ったところ裁判上の離婚原因も見当たらなかったことから離婚訴訟でも離婚が成立する見込みがほとんどないこともご説明しました。その上で、夫に対する気持ちや今後どうしたいのかを伺ったところ、落ち着いてお考えになることができたようで「離婚には応じず、別居状態を継続する」との決意をなさいました。ただし夫が弁護士に依頼していることや、可能であれば別居を継続する際の条件についても調停で決めたほうが今後の生活が安定するという理由から、私を離婚調停の代理人に選んでいただきました。その後、夫からの強い離婚の希望はありましたが、あくまでも離婚は拒否するという姿勢を貫き離婚調停は不成立となりました。
離婚調停はご本人だけで行うことができる手続ではありますが、法的な助言もなく、調停委員に言いたいことを伝えるのは難しいことだと思います。特に調停を申し立てられた側にとっては、突然の出来事であることが多いため心の準備もできていないことが多いです。また、一人で裁判所に行くのが心細いという方や調停委員が相手方の味方をしていると感じてしまう方も多いようです。調停の途中からでも弁護士に依頼するメリットは十分あるはずなので、すでに調停が始まっているが上手くいっていないと思われている方は、今からでも遅くないので一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。