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元SEALDsメンバーの涙「女として生まれた絶望と向き合った」 中傷ツイート投稿者に賠償命令
2021年06月01日 19時16分

安保法制に反対する活動をしていた若者グループ「SEALDs」(シールズ)の元メンバー2人が、インターネット上で誹謗中傷を受けたとして、投稿者の女性に慰謝料など計約1000万円を求めていた裁判で、東京地裁は6月1日、約100万円の支払いを命じた。

被告は政治的活動への批判だけでなく、性差別にあたる中傷もおこなっていた。

判決は、被告の投稿について、政治的な主張や言論についても公共性・公益性を欠くだけでなく、自身の憶測による個人攻撃の意味合いが強く、悪質であると判断した。

原告の福田和香子さん(27=大学生)は判決後、代理人弁護士らと会見し、「心無い言葉に傷つけられている人がいたら、自分を否定しないでほしい」と涙を流した。

安保法制に反対する活動をしていた若者グループ「SEALDs」(シールズ)の元メンバー2人が、インターネット上で誹謗中傷を受けたとして、投稿者の女性に慰謝料など計約1000万円を求めていた裁判で、東京地裁は6月1日、約100万円の支払いを命じた。

被告は政治的活動への批判だけでなく、性差別にあたる中傷もおこなっていた。

判決は、被告の投稿について、政治的な主張や言論についても公共性・公益性を欠くだけでなく、自身の憶測による個人攻撃の意味合いが強く、悪質であると判断した。

原告の福田和香子さん(27=大学生)は判決後、代理人弁護士らと会見し、「心無い言葉に傷つけられている人がいたら、自分を否定しないでほしい」と涙を流した。

●国会前スピーチで攻撃受ける

判決文などによると、福田さんはSEALDsで活動していた15年6月、国会前でスピーチをしたことで注目され、誹謗中傷を浴びるようになった。

被告によるツイッターでの中傷は、16年1月ころから始まった。それを苦にした福田さんが生活拠点を海外に移すと、いったんはおさまった。だが、18年5月ころから再開されたため、19年8月9日に今回の裁判を起こした(16年9月から17年12月にかけて、被告の特定をおこなっている)。

投稿には、原告らへの性差別にあたる内容の投稿や、政治的イデオロギー批判があった。

〈誰の金でパリでご馳走にあやかれるのか sealds 福田和香子。冗談か知らないが自分を売春婦と呼び、女を使ってると自分で言う人に「性差別はなくすべき」とツイートされても、お前が促進してるんだろうと。政治と性リンクさせるのやめて!〉(2016年1月ころのツイート)

判決は、複数の投稿について、原告の社会的評価を低下させるものと認め、福田さんに対して66万円、もう1人の原告に対して33万円の支払いを投稿者に命じた。また、投稿者の反訴は棄却された。

福田さんと代理人弁護士ら 福田さんと代理人弁護士ら

●「反日売国奴」「女は政治に口出すな」ひどい中傷に涙流す

顔の見えない多くの相手からの悪意によって、体調を崩し、夜は眠れず、アレルギー症状を発するようになったという福田さん。

「具体的には、反日売国奴とか首吊って死ねとか私の容姿をけなすものがあった。レイプしたいとか、女は政治に口だすなとか性差別もあった。物言う女を黙らせるためだけの暴力性にさらされ続けてきました」

もっとも執拗な投稿者に対して、裁判を起こすことを決めたが、過去の中傷ツイートを見る作業に、さらに苦しめられたという。

「若い女性であること、年齢と性別の2つがあわさると、私の存在はここまで軽んじられるのかという絶望を感じた。政治的イデオロギーに関する誹謗中傷もあったが、自分が女として生まれたことの絶望と向き合わなくてはいけなかった」

ネット上の誹謗中傷が社会問題化するなか、同じように傷ついている人へ呼びかけるうちに、涙する場面もあった。

「心無い言葉に傷つけられている人がいたら、自分を否定しないでほしい。傷つけられたときに声をあげるのは権利です。私には幸福を追求する権利があります」

福田さん 福田さん

●ネットスラングも名誉毀損

代理人弁護士らによれば、今回の判決では、「スラップ」などの投稿内容も名誉毀損と認められたほか、「人工芝」(草の根活動を装って、スポンサーなどがついてお金をもらった活動と揶揄する言葉)なるネットスラングも名誉毀損と認められた。

ただし、原告側は、慰謝料の金額には納得していない。控訴も検討している。

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